大衆○ 玄人× …でもいいじゃない! 〜序奏とロンド・カプリチオーソ〜
作曲家
サン・サーンス ってどんな人?
1. 天才だけど…
3歳でピアノを弾き、5歳で作曲をする、いわゆる神童。
しかも数学が好きで、音楽家でなければ数学者になっていたかもしれないほど。
しかし性格が悪い一面もあり、同業者に対し
へぇ、君程度でピアニストになれるの?
と聞いた話が有名。古いドラマの脇役みたい(笑)
2. 受けた非難は数知れず…
①ドイツの交響曲を参考にしたが…
サン・サーンスは、フランス人の中で最も早くにドイツ音楽を取り入れました。
しかし、当時はドイツとフランスは仲が悪かったため…
フランス人からは、
このドイツかぶれが!と非難される上に、
ドイツ人からは、
フランス人のくせに交響曲を作るな!…と非難されました。
②その後フランス人もドイツ音楽を聞くようになるが…
なぜかドイツ音楽を理解しようとしない時代遅れの人間として非難され、
「形式主義的」「拙劣だがよくかけた音楽だ」等々、ちょっと調べるただけで大量に出てきます。
真逆じゃん…
曲
1. 作曲経緯
当時の名バイオリニストのサラサーテの魅力を最も引き出せる曲として作曲されました。
(けど、サラサーテはこの曲を弾くことはなかったという話も…)
2. 曲名の意味
「序奏とロンド・カプリチオーソ」って
題名の意味がさっぱり分からないですよね。調べてみました。
・ロンド
フランス語では「丸」という意味があり、
繰り返し形式の曲ということを表しています。
・カプリチオーソ
狂想曲という意味があります。
狂想曲は、音楽技法や形式にとらわれない「きまぐれ」な曲のことです。
きまぐれなのに繰り返すってこと?
繰り返すにもきまぐれだから、どう繰り返すか分からなくない??
曲の印象
楽曲は完全にバイオリンが主役です。ピアノはあんまり目立ちません。
それがあんなに目立つことになるとは…
作中では、主人公の有馬公生とバイオリニスト宮園かをりがコンビを組んで演奏する曲です。
演奏途中に公生のトラウマが発症して中断しますが、なんとか持ち直し、観客から大きな拍手がわき上がります。
( 審査委員長からはディスられますが… )
なぜアニメでこの曲が選ばれたか?
✔️ 枠にとらわれない演奏
カプリチオーソは「気まぐれ」で自由な曲です。
アニメにおける宮園かをりは、楽譜にとらわれずにバイオリンを演奏します。
そのうえ、主人公の有馬公生は、途中でトラウマが発症し、不安定な演奏になります。
この二人の演奏は、まさしく狂想曲 なのではないでしょうか。
✔️ 酷評されるものの…
調べてみて分かったのですが、サン・サーンスを嫌う人って、全員音楽家なんです。
じゃあ一般大衆はどうだったのか?というと、
彼が亡くなった際に国葬をするくらい大人気だったんです。
玄人には嫌われるけど、多くの人を感動させるという意味で、作中の2人とつながっている気がします。
細かすぎる補足
・サン・サーンスを批判する音楽家の代表者として、ドビュッシーが有名。
・いくつかの文献を読んだ推測ですが、サン・サーンスはフランス国外の曲に手を出していった結果、保守的なフランス音楽に戻っていった感じがします。