四月は君の嘘をクラシックで振り返る

音楽未経験者のオタクが西洋音楽史を調べてクラシック通を目指すブログ

混沌の表現とは? バラード ト短調Op23(ショパン)

 

作曲家

フレデリック・ショパン

ショパンに生涯・特徴については過去の記事を参照してください。

 

shigatsuclassic.hatenablog.com

shigatsuclassic.hatenablog.com

バラード第1番は、1831年に着手し、1836年に完成したと考えられています。

ショパン1830年に上京して、作曲家を目指していました。

しかし故郷のワルシャワがロシアに対して暴動(革命)を起こしたことがきっかけで、ショパン追い込まれます。

 

上京したウィーンにとって、故郷のポーランド(首都:ワルシャワ)は敵国になってしまったのです。

その結果、ショパンはパスポートを警察に押収されてしまいます。
そんな中、ウィーンの一部の人たちの助けもあり、ショパンはビザの許可が下りたパリに逃げることになります。

このような精神的に苦悩を感じているときに、この曲に着手したとされています。

なぜアニメでこの曲が選ばれたか?

公生が最後に表現したかったのは混沌(カオス)

ショパンに代表される「ロマン派」は、持っている感情を具体的に表現します。

しかし、ショパンがこの曲に着手したとき、彼は様々な感情が入り組んでいたんだと思います。

できるだけ推測してみると、これだけ挙がりました。
 ・悲しみ(革命が失敗に終わり、故郷の存在が危うくなる)
 ・怒り (自分に原因はないのに、自分の立場が危うくなる)
 ・不安 (上京して頑張ろうとしてたのに…)
 ・絶望 (暴動がきっかけで、家族と5年程会えなくなります)
 ・喜び (こんな情勢でも、自分の才能を認めて助けてくれる人がいる)

おそらくドビュッシーのような印象派でしたら、「抽象化して表現」になると思うのですが、
ショパン全部まとめて一曲の中で表現してしまったのだと思います。

前半の低くて物悲しい始まりから、軽やかに楽しい演奏をはさみ、
逃れられない何かから逃げるような曲調を見せて、最初に戻る。。

情緒不安定すぎます。


とはいえ、似た感情で演奏してしまう人がいましたね。

そう、有馬公生です。

公生は、序盤に(かをりを除く)
みんなが見てる、応えなきゃ と感謝の気持ちが垣間見えます。

そこから、(脳内?)かをりとの楽しい演奏が続く!と思った頃に、
かをりが光を出して消滅していきます。

そして最後は涙と汗でぐちゃぐちゃになりながら

 

さよなら。

 

少ない時間の間の波がとんでもなく多いです。
しかし、このような混沌とした感情達を、

逃げずに(抽象化せずに)表現したという意味で

 

この曲は最後にふさわしい曲だったんだとおもいます。