四月は君の嘘をクラシックで振り返る

音楽未経験者のオタクが西洋音楽史を調べてクラシック通を目指すブログ

【長門有希ちゃんの消失】使用曲 〜亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)〜

「亡き王女のためのパヴァーヌ」を調べてたときにちょうど「長門有希ちゃんの消失」に出てきてびっくりしました。

 このブログでは、この前終了したアニメ「四月は君の嘘」で使用されたクラシック音楽を調べて、その曲が何故使われたのかを考察するブログです。

良ければご参照ください!↙︎ 

shigatsuclassic.hatenablog.com

 

亡き王女のためのパヴァーヌについて

四月は君の嘘」では、有馬公生(主人公)がパヴァーヌ絶対に弾かない曲として宣言していました。

 ヒロイン(宮園かをり)が重い病気のため、生きることをあきらめかけていたときにかけた言葉です。

 なぜこの曲が出てきたかというと、
この2人が共通して読んでいたとされる「いちご同盟」という小説になぞらえています。

(いちご同盟の主人公は、死んだヒロインに「亡き王女のためのパヴァーヌ」を演奏したというシーンがあるみたいです。)

 「四月は君の嘘」では実際に演奏されていませんが、この曲について考えていきたいと思います。

 

作曲家

 

f:id:shigatsuclassic:20150321145438j:plain  モーリス・ラヴェル

ラヴェルの人生  

✔️ 学生時代からの有名人

ラヴェルは学生時代から名曲を書いていた。
しかし批評家の評価が悪く、ローマ大賞に応募したが受賞できなかった。
それがきっかけで学校の院長が辞職する

✔️ ペースはまちまちだが、数々の曲を作曲。
 母が亡くなったり、戦争に参加したりして年1のときもあった。

✔️ 50歳以降から記憶障害・言語障害に悩まされた。

代表曲  

ボレロ

・スペイン狂詩曲

 

曲(亡き王女のためのパヴァーヌ

 

学生時代に書いた曲で、ラヴェルが有名になるきっかけになった曲です。
タイトルを見ると、亡くなった人に対する鎮魂歌のように感じるかもしれませんが、

実際は違うようです。
「亡き王女」はフランス語でinfante défunteとなり
そのゴロの良さでつけられたタイトルだとされています。
実際にラヴェル本人も、

小さな王女が踊ったようなパヴァーヌ(行列舞踏)を表現したと言っていました。

 

アニメに置ける亡き王女のためのパヴァーヌ

四月は君の嘘では、いわゆる鎮魂歌とした位置づけで使われています。
しかし、調べてみるとこの曲自身は

1人の王女を表現した曲 であることが分かりました。

つまり、いちご同盟のオマージュであることを除けば

公生、この曲弾いてもいいじゃん。

ってことになりますね。

また「長門有希ちゃんの消失」はこの曲中で、

① 文芸部が好き

② キョンへの感謝(好意)

③ 文芸部でもクリスマスパーティをしよう

の3つを長門が言及しています。

また、ナレーションも含まれていて、

これは、内気な少女、長門有希の物語である。

と言っています。

 

すなわち、

この曲中で表現していることは、悲しい思いではなく

1人の少女にスポットライトをあてていますよ ということを表現しているように思えます。

 

いかがでしょう?
一見どうでもいいBGMの話ですが、調べてみると意味があるような無いようなで、
アニメをより一層楽しめる気がします。

 

細かすぎる補足

✔️ ラヴェル自身は、この曲がそんなに好きじゃないそうです。
 技術的に目新しいものがないだとか。まぁ謙遜かもしれませんが。

✔️ 晩年は、記憶障害のため「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聴いて、

 これはいい曲だね?誰が作ったんだい?
 と質問したという話が有名です。